第2回 時の流れと景気の変動




 皆様こんにちは、お元気でいらっしゃいますか?暦の上では大寒の真っ最中、ここが寒さのピークですね。ニューヨークでは積雪30センチだそうです。今回は、時間と共に刻々と変化していく、経済問題、景気の過去・現在・未来について書きたいと思います。
 まずは、1日は24時間のはずなのに、どうして早く感じたり、長く感じたりするかについてです。以下のような言葉を聞いたことがあります。「十代の時は、1日が早く感じる。二十代の時は1週間が早く感じる。三十代は1ヶ月が早く感じる。四十代は1年が早く感じる。五十代になると10年が早く感じる。六十代以降になると、人生が早く、短く感じるものだ。」如何でしょうか?心理をとらえているように感じるのですが…。このことに関して、関根一夫牧師からは、以下のようなメールをいただきました。前回の礼拝は12月29日、そして今回は1月5日。いつも通りその間は一週間しかないはずなのに、昨年、最後の礼拝、新年、最初の礼拝という空気が自分の中にあって、ずいぶん長い期間、会ってなかったような感じさえありました。不思議だなと思いました。内容は全く同じ一週間のはずなのに、どうして長さの感覚が違うのだろう。ちょっと気になったのでウィキペディアで「カイロス」と引いてみました。こんな風に出ていました。ギリシア語では、「時」を表す言葉が「カイロス」と「クロノス」の2つがある。前者は「時刻」を、後者は「時間」を指している。また、「クロノス時間」として、過去から未来へと一定速度、一定方向で機械的に流れる連続した時間を表現し、「カイロス時間」として、一瞬や人間の主観的な時間を表すこともある。クロノス時間としては機械的に流れる連続した時間で7日間なのに、カイロス時間としては、その間の年末年始ののどかな休日気分などが入って、とても長く感じたということになるのでしょう。雨の日に傘も持たずにバスを待つ時間と、天気の良い日に友達と一緒にバスを待つ時間は、時間の長さは同じでも気持ちの上での時間の長さは全く違うはずですよね。
皆さんにとって、この一週間が早く感じられたのか、遅く感じられたのか、個人差があると思いますが、そういう主観による時間の感じ方の違いも、人生の楽しみのひとつなのかもしれませんね。嬉しい事はあっという間に時間が経っていきますものね。昨日はあっという間に時間が過ぎて行きました。今週の歩みが、あっという間に終わるような、もったいないような一週間になりますように。
 さて、ここから私の書くことは、今年の景気を踏まえての予測になります。「安倍のミクス」と評して、総理を先頭に、政府はデフレ脱却をして、インフレにし、景気の改革を目指しています。結論から書きますと、これは「空景気」と私は言わざるをえません。確かに昨年1年間で物価が上がって来ております。しかし、大半は、ガソリン灯油、電気代です。政府の発表によると、1.2パーセントのインフレとあります。その大半が先に書いた、輸入によるものの物価高騰です。製造品はマイナス、賃金も日本全体ではマイナスです。期待されている住宅のかけこみも、景気の良いのは大都市だけ、地方都市はマイナスだそうです。建てかえたくてもお金が無いのです。政府の号令によって、大企業では7年ぶりにボーナスを上げましたが、中小企業では、ボーナスが出れば良いほうです。ボーナスの無い労働者は全体の半分になりつつあります。運送業・食品関係では、ボーナスはほとんど0、支給するところでも「スズメの涙」と聞いております。
 ここで、過去40年間の銀行利子の変動から景気を検討してみます。昨年も書きましたが、70年代から92年までは、1年間の定期預金をすると、郵便貯金では、年利5パーセントでした。10万円を10年間預けると「倍返し」になっていました。90年に入ってからバブルがはじけはじめました。92年から95年にかけて、円高が進み輸出が急激に落ち込みました。日本の経済がどん底になり、銀行や証券会社が次々と倒産し、合併を余儀なくされました。そのころから、私たちの貯金への利子が下がり始め2千年頃から、いわゆる0金利となりました。現在、銀行での年利は、0,04パーセントと聞いております。百万円を銀行に預けると、利子は400円ですね。それに、20パーセントの税金がつきますから、80円が引かれて、320円の利子しかつかないのです。これでは、コーヒー1杯で終わりになります。かつての5パーセント利子ならば5万円の利子がつきました。これで、家族で一泊の旅行でもしようかという、消費欲が出て来るということになります。
 さて、今度は、銀行から住宅の購入のために低利子で借りようとします。するとその利子は3パーセントとなります。これは何と高いことでしょうか!私たちの貯金に対する利子の百倍に相当します。「銀行はそれが仕事だよ」という声が聞こえてきます。1980年に、私が家を建てた時、住宅金融公庫の利子は、年利5.5パーセントでした。それだけでは足りず、銀行からの借金は8.8パーセントでした。高いといえば高いのですが、1年定期が5パーセントですから、銀行への返済利子との差は、1.6倍の差でした。それに引き換えると、現在の貯金と借金の利子の差は百倍と思っても良いでしょう。銀行と異なる簡易金融では、最高19パーセントまで認められているのです。恐ろしいほどの高い利子ですね。この低金利に我慢ができなくなった人たちが、株や投資で儲けようとしているところに、付け込むのが「振り込め詐欺、投資詐欺、未公開株の詐欺」です。栃木県では、3年前に、子牛を育てて成長させて売るという、「アズラー牧場」の投資が始まりましたが、獣肉の暴落によって、5千億円におよぼうかという負債を抱えての倒産でした。一人当たり1千万円の損失と聞いています。このようなニュースは日々こと欠きません。
 それではどうしてこのようになったのでしょうか?答えは、日本の政府が赤字国債の連発で、今や1千兆円を超えようとしていることに他なりません。民主党は、その赤字を何とかして少なくしようとしましたが、一昨年の安倍政権以来、「上げ潮路線」、つまり、国民の給料を上げて、消費を上げれば、景気が良くなるとの路線変更に変わりました。皆様、良くご存知のことと思います。しかし、3本の矢のうち、3本目は全く飛びません、的を離れてどこかへ飛んでしまいます。いいえ、飛ぶ力もないのです。小泉総理の時は、赤字国債は、36兆円を超えないことという、閣議決定がありました。しかし来年度の赤字国債は、95兆円の予算に対して、国債は41兆円となります。今年4月の消費税8パーセント、10月からの年金1パーセント減額、介護保険料の増額などが待っているので、多くの国民、とりわけ3168万人の年金生活者は緊張、緊縮の生活に入っています。本来ならば三十代から五十代までの人たちが消費拡大をして欲しいところですが、これまた、会社のリストラに恐怖心でおののいています。結局、景気を良くするためには、労働者の賃金を上げること、非正規社員の待遇の向上を図ること、銀行の利子を上げることになると思います。
 さて、これからのことについて書きます。赤字国債が増えるばかりですから、私たちが期待している定期預金の利子は、30年くらいは0金利を覚悟しなければなりません。年金をもらえる年齢も間もなく65歳からとなります。それが70歳からになるのもそんなに遠くない将来かも知れません。それどころか20年もすると、年金積み立てが、いったん納めた人に払い戻されて、年金制度が壊滅状態になるかも覚悟しなければなりません。国民の40パーセント(ほとんどが非正規社員と思われます)が国民年金を納めていないというのです。本当は納めるゆとりが無いのだと思います。
 2025年には、0歳児から20歳までの人たちの数は2千万人を僅かに超える程度です。21歳から60歳までが5千万人程度と思います。そして65歳を超える人たちの数が5千万人となると予想されております。日本の雇用形態も、終身雇用は、ごく限られた職域に限られてしまい、欧米並みの契約制度になって行くことと覚悟せざるをえません。私は、我が家の娘に次のように言っています。「家族で一緒に暮らしているのだから、アパート代だと思って貯金にしておきなさい。日本政府は赤字国債の連発ができるけど、私たちには赤字国債は許されないからね。」今、そしてこれから私たちが持つことのできるものは、物の豊かさではなくて、心の豊かさ、「希望、信頼、助け合い」、そういったことを心の真ん中におかないと大変な時代の渦に巻き込まれてしまうのではないかと思います。
 30年前の夢のような時代を「昔は良かった」として書きます。退職を迎えた人は、その退職金を銀行に貯金をしておけば、その年間の利子と年金で悠々自適の生活が送れました。海外旅行、温泉旅行。正に栄枯盛衰です。
 事例1、知人の息子さん25歳、ラーメン屋の店長、正社員として採用されました。しかし3ヵ月後、店長をおろされ、非正規社員となってしまいました。調べてみたら、最初は健康保険が適応されていましたが、今は国民保険料を自分の給料から払わなければならなくなりました。そればかりか年金積み立ては、最初からされていませんでした。
 事例2、五十代男性、リストラされて解雇されました。11ヶ月失業保険を受けながら、ハローワークに毎日通いつつ、新聞広告で色々な会社を訪問しました。新聞には「若干名募集」とありました。ところが行ってみると「あれは新聞の広告だけだよ。本当は雇う気持ちはないけど、新聞には無料で載るから、会社の広告になるんだよ」との回答でした。1年の努力の甲斐あって、仕事を見つけられて、ホッとしているそうです。
 買い物をする前に、「これは本当に必要かどうかを考えなければならないな」と、最近考えている私です。
 さて、2月になると、ソチオリンピック、都知事選挙と興味深いニュースがあります。「春よ来い、早く来い」ですね。次回は2月8日の予定です。



 メルシーとちのみ  /  トップページへ