第5回 20年間の過去と未来




 皆様、こんにちは。お元気でいらっしゃいますか。3月、弥生となりました。立春からの2月は大雪に苦しめられました。過ぎてみれば、そんなことも思い出になるかも知れませんが、その雪のために、20人以上の方が亡くなられたということには、心が痛みます。また、私も心して生きなければならないと、痛感した2月でした。「石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる 春に なりにけるかも」とは、万葉集にある春の歌です。高校時代に記憶した歌を思い出すことができるのですから、国語の先生はすばらしい先生でした。3月11日は、盲学校を始め、栃木県内の中学校では卒業式を迎えます。また、東日本大震災から3年を迎えます。福島にある放射能漏れと、被災されている人たちを思いながら、1日を過ごしたいと思います。さて、今回は先に書きましたように、「日進月歩」と言われる今日!20年前のことを振り返りつつ、2034年の頃に夢を広げて行きたいと思います。皆様も、どうぞお考えをお聞かせください。
1 私たちのライフスタイルはどうなるか?
 20年前を思い出しますと、バブルの崩壊を迎え始めた時でした。パソコンは91年頃から普及しましたが、携帯電話は私たちの生活にはまだ届いていませんでした。若者たちは、ポケベルを持って、家の電話機から友達のポケベルに、ショートメールのようなものを、「ピ・ポ・パ」と、驚く程のスピードで叩いていました。その速いこと、傍にいた私、あ然としていました。そのうちに、携帯電話が普及し始め、私が「シティーフォーン」を手にしたのは96年でした。そして、携帯電話を買ったのが98年でした。パソコンを使ってのインターネットとメールを始めたのは、99年からのことでした。
 さて、20年後のことに話を進めてみましょう。家の中は、ロボット君の大活躍の時と思います。家庭では、食事を作ってくれるロボット、買い物をしてくれるロボットがいます。高齢化を迎えた人のためには、主流が在宅介護ロボットです。なんせ、20年後は高齢者が5千万人と予想されます。病院や特別養護施設に入る所は飽和状態ですから、どこにも入居できません。そこで開発されたのが介護ロボットです。家の中での全てのサポートをしてもらえます。お風呂の介助、オムツの交換、食事の介護などは、このロボット君のお世話になることと思います。認知症の人のためには、ロボット君が話し相手になることでしょう。コンピュータによる、自動車になり、視覚障害者も、行き先の住所と電話番号を音声で言えば、車は「了解しました」と言って、静かにスタートします。交通事故は手動運転よりも安全・安心となります。家庭内でのパソコンは、電源を差し込むだけで使えるようになっていることでしょう。プロバイダーや電話会社との契約ではなくて、テレビやラジオと同じように、電気店から購入して電源を入れれば使うことができるようになると思います。携帯電話も、自動通訳の電話となり、世界の人たちと話をすることができるかと思います(最も自分で語学を楽しみたい人は別です)。
 以上、ここまでは、私が描いた理想的な20年後です。
2 変化する人口!
 現在、日本の人口は、1億2800万人です。これからの人口は激減します。2034年には0歳から60歳までの人口は、役6千万人と思われます。昨年生まれた子どもの数は103万人でした。今年、成人式を迎えた青年は121万人でした。この人たちが20年後には、二十歳から四十歳を迎えますから、6千万人から多くても6500万人程度と想定されます。これに対して、60歳以上の人たちは、5千万人程度ではないかと考えられます。因みに、江戸時代から明治時代にかけての日本の人口は、3千万人程度だったそうです。
 さて、ここからが大変です。働き盛りの4千万人が、5千万人を支えなければなりません。現在、30代から50代の皆様、お覚悟はよろしいですか?一番問題なのが年金制度です。現在、国民年金を納めていない人たちが40パーセントです(非正規社員は、現在1965万人、労働者の37,6パーセント)。しかも、年収400万円の所得があるのに納めていない人の数が14万人もいるのです。政府は、来年からそのような人たち(国民年金を納めていない高収入の人たち)には督促状を出し、それでも納めない人には、車やテレビなどの差し押さえを始めると聞いております。
 年金制度について、考えられることは以下の三つです。一つ、年金制度をやめること。二つ、年金の受給を70歳、75歳と延長すること。三つ、年金の受け取る額を引き下げることです。このうちで、現実的に考えられることは、年金の支給年齢が、20年後には70歳からが妥当かと思われます。そして、支給額も、現在は厚生年金の平均が17万円前後ですが、その頃には、どの程度になるか分かりません。政府でも分かりませんね。86年の年金法改正では「百年間は安心できる年金制度」と言っていましたが、2千万人の人たちが、国民年金を納めていないのですから(最も、この人たちの大半が非正規社員で月額1万6000円を納めたくても、納められないというのが実態と思います)。その人たちが仕事をなくして、高齢になれば、生活保護を受けるしか、生きる手立てはありません。
 20年後、雇用制度は、欧米並みの契約制度が主となるでしょう。終身雇用制度は、どんどん減少していかざるをえません。好むと好まざるにかかわらず、インド・インドネシア・ベトナムなどが、急速に経済発展をとげますから、それらの国々と競争するためには、企業は海外移転、コストカットを余儀なくされてしまいます。
 日本は、現在、1千179兆円の赤字国債を抱えています。本来ならばギリシャ以上に、大変な危機にあるのですが、3本の矢を放って、景気を良くしようとしています。ものを作らずに、株を上げて金儲けをしようとしても、そう簡単にはいかないと思います。このつけは、必ず返さなければならないのです。政府も、官僚も知っているのですが、臭いものにはふたをしたままなのです。百年前のことでしたら、こんな時には、侵略戦争をしたことでしょう。そのことによって、大インフレを起こし、国の借金をなくしてしまっていたのかと思います。
 それでは、「俺たちはどうしたら良いんだ!」との声が聞こえてきます。自分の人生は、国に頼らず自分で守るという発想の転換が必要と思います。一発逆転ホームランを狙っての良い話に飛びついて、投資詐欺、高い利子に飛びつくと大やけどをしてしまいます。以前は、貯金型保険がもてはやされました。しかし、私はそのお金を貯金した方が良いと思います。私は以前、保険会社の言うことを鵜呑みにしていました。しかし、良く考えると、高額医療制度があります。病院には、ごく限られた期間しか入院できない時がやってきました。百万円があれば、病院生活は、概ね生活できると思います。それ以降は在宅となってしまうと思います。保険に入るつもりで、コツコツと貯金をしてはどうでしょうか?もちろん、念のためにということで、ゆとりがあれば保険に入ることも否定するものではありません。これからの人生、本当に必要なもの、何か楽しみの一つを持つことが良いのではないかと思います。本当に厳しい生活が考えられますが、物やお金が全てではありません。心を豊かにすることこそ、これからの人生と思います。
 最近読んだ本に、ローラ・インガルス・ワイルダー著「大切なものは少ないのです」という本がありました。ローラ・インガルスは、「大草原の小さな家」の主人公でした。「私たちは、人生という川の流れにながされて、永遠という海に向かって生きています。」と言う言葉が心をとらえました。また、お金と時間、あなたはどちらを選びますか?とも書いてあり、ローラは、時間があり、ゆっくりと自然の中で暮らせれば「私は幸せ」と書いています。身の回りにあふれるばかりの物や、衣服を買っても、自己満足に終わってしまうのではないかと思うのです。「いつも喜び、絶えず祈り、すべてのことを感謝しなさい。」(聖書)。そのような人生を送りたいと思うのですが…、なかなか難しいですね。それでも、「メルシー」(ありがとう)と言えたら、幸いな1日となるかと思います。
 3月は、別れの季節、卒業の季節ですね。これから社会に飛び出すみなさんの活躍をお祈りします。次回は3月22日の予定です。



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