第18回 栃木県視覚障害者音楽発表会について




 去る9月14日(日)、栃木県視覚障害者福祉協会(栃視協)では、朗読ボランティアグループ「ひびき」のご協力をいただいて、郡読と音楽の発表会を栃木県福祉プラザにおいて、ほぼ1日行いました。私は、都合により午前中は出席できず、午後1時からの参加でした。いわば、秋の音楽芸術祭といっても良いかと思います。
 盲学校の高校生によるピアノの演奏、有志による合唱、コカリナという、さまざまな木を材料にして作った楽器による演奏、そしてギターとデュエットによる美しいハーモニー、フィナーレは結成以来50年を迎えるウイングスという盲学校卒業生のエレキギターによる演奏で盛り上がりました。本来ならば、朗読ボランティアグループ「ひびき」の、群読を楽しみにしておりましたが、午前中でしたので、私は残念ながら聴くことができませんでした。11月に「ひぴき」との交流会がありますので、その時を楽しみにしております。
 そこで今回は、私と音楽との関わりについて書くことにします。そもそも、この話は昨年の6月から始まります。栃視協では、6月30日から7月1日にかけて、栃木県塩原温泉での一泊旅行が企画されました。私は、家庭の事情により、このような行事には10年余り欠席でした。友人達の優しく熱心なお誘いを受けて、この温泉旅行に出かける決心をしました。親友の増田君から、「お風呂ぐらい男たちで行けば大丈夫、おぶってやるから、いくべ!」との、何と温かいお言葉!30人程の人たちが、福寿園という旅館の送迎バスで出かけました。3時頃に旅館に到着、私たちの部屋は、懐かしい4人部屋でした。特に長年茨城県立盲学校で、理療科の教師をなさり、退職後も水戸市に住んでいらっしゃった、賀川友吉先生が、故郷宇都宮に帰って来られての1年目でしたので、同室での話には花が咲きました。先生は、増田君や私たちの専攻科2年生の時の担任でした。あれから数えて42年になります。私たちは62歳、賀川先生は75歳です。フルマラソンを、ついこの前までなさっていた程、元気な先生です。その日の夕食では、美味しい食事に舌鼓を打ちながら、カラオケで盛り上がりました。夜も9時頃、増田君が持ってきた、ギターに合わせて歌の会が始まりました。70年頃の青春の歌が、次々と出て来ました。時間は11時を過ぎていたころ、ついに「あの・・・お休みになっている方もいるので、静かにお願いします。」との、イエローカードが出されました。そんなことがきっかけとなり、初めてお会いした栃木県矢板市の小川さんという方の提案があって、音楽の好きな人たちが集まって何かをしよう!ということになりました。
 栃視協で、検討をしていただき、音楽同好会としてスタートしました。そして、昨年は12月に福祉プラザで5人が集まり、フォークギターに合わせて、懐かしい歌を次々と歌いました。今年になってから、2ヶ月に1度の集まりで、8月に集まったときは、女性コーラス3人が加わり、世話役含めて10人となりました。ギターリスト5人、歌手3人、そして昨年ピアニカを買い求めた私といったメンバーです。9月14日には、先に書いた、音楽交流会があるので、6月の頃からそのことを意識するようになっていました。最終的に曲目が決まったのは、6月の5回目の練習日でした。8月に参加した2人の女性にとっては、「寝耳に水」だったかも知れません。しかし、女性たちは以前から合唱団に所属して、それぞれ活動をしていたので、曲さえ分かれば、慣れるのは早いものでした。私たちのグループ名につきましては、音楽愛好会をそのまま英語にして"The Music Loversと、素朴なグループ名となりました。当日参加したグループは、5グループと、やや少ないような気がしましたが、いざ始まると、内容は充実していたように感じました。私たちのグループは、小川さんが、単独で、スペインのギター曲を演奏し、その後9人で70年代の歌を2曲と、ゴスペル・アメージンググレースを演奏しました。ギターを弾く人たちは、長年弾いており、安心して聴いていられます。問題なのは、私のピアニカでした。
 私はかつて自己流でアコーディオンを弾いていました。大学時代に友達に助けてもらって東京・秋葉原の楽器店で、8万7千円のアコーディオンを買いました。結構、重い楽器なのです。幸い、肩にかついで運べるように、バッグがついていました。盲学校に就職してから、キャンプファイヤーで宿泊する時には、多少役に立つことができました。電気アンプを使わなくてすむし、かなり大きな音が出ますので、パチパチと燃える火を囲んでも伴奏にはなりました。しかし、退職してから久方ぶりに認知症の予防になるかと思って弾いてみました。ところが、メロディーを引く右手、伴奏をする左手がほとんど動きません。ミスタッチばかりでした。そこで今回は、このアコーディオンを処分して、ピアニカを買うことに切り替えました。現在は、使わなくなった楽器を安く買い取ってくれる店もあります。結局、アコーディオンを、3千円で買い上げていただき、ピアニカ5千円でした。主旋律を弾けば良いのですが、10年以上も弾いていないので、指が思うように動きませんでした。8月になってから、毎日20分程度練習を続けました。すると、練習の成果が少しずつ出てきて、ミスが少なくなりました。その結果、当日は間違いなく弾くことが出来ました。遥か昔の学芸会を思い出して、とても懐かしく幸せな気持ちでいっぱいになりました。女性たち3人に入っていただき、歌が入ると音楽にも厚みと深みが加わり、より楽しいものになりました。始めてまだ1年ですが、音楽を通しての交流と友情は良いものです。
 高齢者向けのデイサービスでは、ハーモニカを吹いて、懐かしい歌を演奏すると聞いております。呼吸器にも良いし、脳を活性化するのではないかと思います。私のピアニカも、管を使っての演奏なので、これまた呼吸器と指のリハビリに良いかと思います。高齢になったら、歌を歌うことは言うまでもなく健康に良いことですね。毎週、日曜日には、教会に行って賛美歌を歌います。あまり他人に迷惑にならないように気を遣いつつ、心を込めて、声高らかに歌うようにしています。カラオケもストレス解消と健康にも良いと思います。高校生などは、フリータイムといって、ソフトドリンク飲み放題で、4時間、5時間も歌っています。600円程度ならば丁度良い値段ですね。
 私たちは、、ついつい良い気分になって生ビールを飲んでしまいます。2ヶ月に1度程度なので、まあいいか?と、自分に甘いです。その分、甘いものを食べるのは控えめにしています。
 話が脱線して来ました。最近私の盲学校時代の同級生が、次々と病院を退職しています。時には近くの人たちが、コーヒーを飲みながら、語り合えたら良いと願っております。そしてクラスメイトが、The Music Loversに、3人、4人と増えているのは、何と幸いなことかと思います。
 9月15日は、敬老の日でした。65歳以上の人が、3296万人、100歳を超えた人が、58800人を超えたと聞いています。健康で穏やか人生を送れる社会を願っております。
 今回は、この辺で幕を下ろしたいと思います。秋たけなわとなりました。叢で、すざくコオロギの声も、窓を開けると良く聞こえます。「行水の捨てどころなし 虫の声」
 次回は、10月11日にお会いしたいと想います。仲間由紀恵めでたく結婚とか、今年の紅白歌合戦の司会もすると聞きました。「終わり良ければ全て良し」とさせていただきます。ごきげんよう、さようなら!(花子とアンより)




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