第19回 私の映画鑑賞ノート@
こんにちは。お元気ですか。もう1週間が過ぎようとしています。学校は27日からの三日間の「連休ベリーマッチ」ですね。私は29日の同窓会で皆様にお会いするのを楽しみにしております。それにしましても、今年の天気の不安定なこと!先週の土曜日から今週の月曜日にかけての三日間、冬並みの寒い日が続きました。4月21日には、奥日光では18センチの積雪が降りました。1947年以来の積雪だそうです。
さて、今回は私の感動した映画をご紹介いたします。映画と言っても、私の場合は自宅でのレンタルビデオを借りてきて、家族で説明をしてもらいながらのビデオによる映画鑑賞です。昔は、外国映画が頻繁に放映されていましたが、レンタルビデオ店が増えるに連れて、その放送も激減し、もっぱらBSでの放映が主流となり、字幕スーパーですから、視覚障害者にとりましては、なかなか難しくなりました。
1 「ポセイドンアドベンチャー」1972年アメリカ映画、主演・ディーンハックマン。
1400名の乗客を乗せた豪華客船「ポセイドン号」は、ニューヨークからギリシャに向けて出港しました。大晦日から新年を、パーティーで楽しんでいる最中、高さ32メートルの津波に襲われて、船は真っ逆さまになっってしまいました。転覆した船から何とか脱出しようという冒険です。主演ディーン・ハックマンが、主人公スコットを演じました。
船の下からは海水がヒタヒタと押し寄せて来ます。乗員たちの多くの命が転覆した時に亡くなります。しかし、残された数十人の人たちが何とか脱出しようとして、会談を上ったり、柱を登ったりして、上へ上へと進みます。ある所に行ったとき、右か左に行くかで意見が分かれます。スコット牧師は一方のリーダーとなって、左に行くと言い、もう一方のリーダーは、「牧師の言うことなんか信じられるか!」と言って、右側へ行きます。間もなくして、爆発が起こり、右側に行った人たちは、突然の爆発によって亡くなってしまいます。スコット牧師をリーダーにした十数人の人たちが次にぶつかったのは、プールのようにできた水溜りでした。みんなで相談しましたところ、一人のおばあちゃんが、「私は昔水泳の選手だったから、水中をもぐり、向こう側にロープを張って来るからね」と言います。夫は反対をしますが、「わたしがやらなくて誰がやれると思うの。大丈夫、お祈りしてね!」と言って、彼女は水深くもぐり、無事反対側にロープを繋ぎます。その後、一人ずつ、ロープに掴まってその水溜りを脱出します。それから間もなく、その女性は疲れ果てて心臓発作で命を落とします。試練はさらに続きます。船の中、彼らの近くで大爆発が起きて数人の命が失われてしまいます。スコット牧師はたまりかねて、神に向かって叫びます。「神よ!あなたは何人の命をうばいさるのですか。私の命をとってください。そして、残された人たちの命を助けてください。これだけの犠牲があれば、もう良いではありませんか。」との、心底からの叫びでした。最終的には、船の一番上まで到達することができ、救助隊が来てくれて、鉄の板ごしに、合図を取り合って助けられるという映画です。
私は何回見ても、感動します。愛と助け合いによって、逆境に立ち向かう人たち、争いもあれば、迷いもあります。また一つの決断で、生死が分かれるという実にギリギリの世界を感じてしまいます。この映画は、レンタルでは、日本語の音声は今は聞くことができません。たまにテレビで放映するのには声優の声で楽しむことができます。この「ポセイドンアドベンチャー」は、フィクションですが、97年には、「タイタニック」の映画が、レオナルド・デカプリオの主演でヒットしました。そういえば、今年の4月14日で、タイタニックが、氷山とぶつかり太平洋に沈んで百年になったと聞きました。死者が1500人いたと言われます。
2 「パーフェクトワールド」1993年のアメリカ映画、主演ケビン・コスナー。
刑務所を脱走したブッチーは、逃げ込んだ家のフィリップという少年を人質にして、車で逃走を始めます。少年フィリップは、ブッチーに対して最初は恐怖感をもっていましたが、次第に二人の間に信頼と友情の絆ができていきます。ブッチーは、脱獄犯なので、警察からどこまでも追いかけられて、ついに逃げられない所まで追い詰められました。ブッチーには、一つの夢がありました。それは、アラスカにいる父親から彼に1通の手紙が届いていたのでした。彼は、何とかアラスカへ行きたいとの強い願いがあり、少年に「俺が死んだら、この手紙をアラスカに届けて欲しいんだ!」と言って、手渡そうとします。その時、警察側は、ブッチーが少年を撃ち殺すのではないかと思って、ヒットマンがブッチーを撃つということがおきてしまいました。その時は、ブッチーはライフルはもう持っていなかったのでした。
何ともいえない終焉ですが、強盗と少年の間の信頼と友情が、私の心に癒しを与えてくれる映画でした。ブッチーがどうして人殺しをしたかについても、映画では彼の言葉で語られています。「俺は母親から愛されたことが一度もなかった。俺には母親がいないのと同じだった。」との告白です。そして、少年フィリップの彼と似たような家庭環境を知って、少年に対して愛情を感じたのでした。罪と罰といわれます。罪を憎んでも人を憎まずと言われますが、昨今のさつばつとしたニュースを聞くと、罪を犯してしまう人には様々な背景があると思います。そして、この映画は、私に、許すことの大切さ、信じあうことの大切さを考えさせてくれる素晴らしい映画と感じました。最後のシーンに来ると、自然に涙が頬を伝います。
3 「アイランド」2005年のアメリカ映画、主演ユアンマクレガー。
ここは、宇宙船の中、地上は放射能を始めとして、もはや生活できない状態にあります。地上で一箇所だけ「夢のアイランドがある」と、船の中では人々が洗脳されています。もちろん、当事者たちは、洗脳されているとは思いません。抽選で当たれば、そのアイランドに行くことができるといわれていました。さて、主人公トムの番がやってきました。そのアイランドに行ってみてビックリしてしまいます。彼と同じ人間がアイランドにいたのでした。実は、アイランドにいたのが、本物の人間で、船の中にいたのは、クローン人間だったのです。そして、所有者が多額のお金を払っておいて、自分のクローン人間を飼っておいて、病気の時には、手術をして助かることができるというストーリーでした。
クローン人間は、肉体は所有者と全て同じですが、ただ一つ感情はありません。喜怒哀楽が抜かれているのです。しかし、この映画はそれでは終わりませんでした。政府の政策と、クローン人間が、本来の人格を取り戻すことができるかどうかが、映画の見所です。先ごろ話題になったIPS細胞の話から、この「アイランド」の映画を見ていただくと、さらに現実化して来るのではないかと感じています。アクション映画の所もありますので、視覚障害者は、映画の説明をしてもらえる人と一緒だと楽しみが倍増されます。
4 「最高の人生の見つけ方」2007年のアメリカ映画、主演ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン。
世界で指折りの金持ちで、自分本意の老人と、自動車の整備工の実直な老人二人が、末期癌という病気になって同室に入院します。この映画は、それを土台として、生きるとは何か?幸せとは何か?、ユーモアとペイソスあふれる物語です。金持ちは無神論者、貧しい老人は唯神論者です。二人の考えは全く違っていました。しかし、二人とも、もはや手遅れの病的な状況です。本来は、辛く苦しいはずなのに、この映画は、その向こうに勇気と希望を与えてくれます。
二人のやりとりが実に楽しいのです。「おまえさんは、神様はいないというけれど、もし天国に神様がいたらどうするかね。」、「その時には、おまえさんから、こいつは無神論者だけど、なんとか助けてやってもらいたいと、頼んで欲しいね。」、「神様は信じるもので、頼まれてもだめだと思うよ。」。そんなやり取りの後、金持ちの老人のプレゼントで、二人は元気な時を有効に使おうとなり、世界旅行を始めます。そこで、お互いに次第に友情を深めていきます。高齢化社会を迎えたこんにち、人生の幸せとは何だろうか?と、私たちに問いかけています。
今回は、4本のアメリカ映画を紹介させていただきました。視覚障害者にとって、映画を楽しむことは難しいところもありますが、最近は、音訳ボランティアの協力をしていただいて、音声ガイドつきの映画会を開いていただき、私たちも映画を楽しむ機会が広がってきました。読書をしてから映画を鑑賞すると、二度とそれぞれの感動を味わうことができるのではないかと思います。本を読んでから映画を見てガッカリする時もあります。私の場合は、できるだけ本を読んでから映画を楽しむようにしています。映画といえば、映画館では3Dと言って、目の前に物が飛び出してくるような映画になって来ました。さらに加えて、名古屋市にある映画館では、5月から映画に合わせて、いすが動いたり、天井から霧状の水が降ってきたり、においまで出てくる映画館がオープンすると聞きました。これには賛否両論があります。これまでの映画でも充分ではないか、そこまですると、映画のもつ味わいやイメージが奪われてしまうのではないかという意見もあれば、さらに映画を楽しむ効果があるのでは…との声があります。大画面での映画で充分かと思いますが皆様は如何でしょうか。最も、私は映画館には、めったに足を運ぶことはないので論ずる資格はありません。
さて、いよいよゴールデンウイークに入ります。観光地に出かけるのも良し、家族でカラオケに行くのも良いですね。また友人との飲み会も楽しいものです。次回は5月11日を目標にして、来週は「もみじの人生日記」は、お休みとさせていただきます。私は5月3日には、愛信会の集まりがあって、恩師鈴木先生たちの教え子たちが集まっての楽しい一時を過ごします。子どもの日には、家族でカラオケに行く予定です。人生の最高の一時かも知れませんね。皆様にとりましても、GWが人生の最高の一時となりますようにお祈りいたします。Happy holidays!
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