第33回 2020年を考える
皆様こんにちは、残暑厳しき夏ですが、お元気でいらっしゃいますか。先週から今週にかけて、日本列島、「言うまいと思えど、このあつさ」です。熱中症には、くれぐれも気をつけていきましょう。
さて、今回は7年先となりますが、2020年について、あちこちで話題が出ておりますので、私もこのテーマで書かせていただくことにいたしました。皆様のご意見を同窓会のホームページに投稿して、ご意見をお聞かせください。
1 2020年のオリンピックは東京になるか?
先日の「週刊現代」に、大胆にこの予測が出ておりました。それによりますと、来月、9月8日には決定するのですが、週間現代によると、今回ノミネートしている、イスタンブール、マドリード、東京での第1回目の投票では、過半数にはいずれもおよばないとのことです。そこで、決選投票は、マドリードと東京になります。日本は、その時に、イスタンブールに投票する人たちに、決選では東京に投票するように懸命に根回しをしているといいます。はたしてどうなりますか?
マドリードの懸念される点は、先日起きた特急電車の脱線事故による、交通安全問題です。そしてもうひとつは、2024年には、オリンピックの発祥に影響を与えたフランスが、ほぼ決まりとの暗黙の了解があるそうです。そうなると、2回続けてのヨーロッパではない方が良いのではないかということです。
他方、東京については、関東大震災から間もなく百年になります。世界の人たちがそのことを心配して、東京への投票がどうなるかです。私としましては、1964年以来、56年ぶりのことですから、是非、東京でオリンピックを開いて欲しいと願っております。もし、東京オリンピックが開催されれば、日本の経済は好転し、5兆円から10兆円の効果がでると言われています。
2 日本の経済・社会・福祉について
2020年には、次のような現象が起きているとの予測があります。
@消費税が15パーセントになっている。
A人口が現在より4百万人以上減少している。
B年金は65歳または67歳からの支給開始になる。
(1)消費税について
まず、現在論議の的になっている、消費税です。昨年、自民・民主・公明党の合意事項で、14年に8パーセント、15年に10パーセントにするという法案が、社会の状況をみながらという付帯的条件がつきましたが、可決されました。参議院選挙では、安倍総理は、安倍のミクスを前面に争点にして圧勝し、現在は、秋まで、秋までと言っています。誰しも、消費税を上げることには積極的に賛成する人はいないと思います。8月12日のNHKのアンケートによると、賛成26パーセント、反対40パーセント、分からない30パーセントでした。しかし、日本の現状を考えると、消費税はもはや待ったなしとしかいえません。これまでの赤字国債が、1千兆円に達し、来春には1千百兆円になろうというのです。これは、国民が借金をしていることになります。ですから、消費税を上げて、財政再建をしなければ、ギリシャ・スペイン・ポルトガルのように、日本国が赤字破綻となってしまうのです。そうなると、社会保障、医療福祉も、頓挫してしまいます。
日本は、バブルがはじけての20年間、赤字国債の連発で先送りして来ました。もう限界に達しているのではないかと思います。昨年、国会で消費税値上げ法案が可決されましたが、「状況をみての判断」ということもあり、安倍総理は、参議院選挙から争点をはずしました。野田総理はそれが元で大敗北でした。消費税を上げれば、消費が冷え込み売り上げが落ち込みます、そうかと言って、このままにしておくと、赤字国債が増えるばかりです。借金の山となります。私たち一人ひとりが、覚悟を決めての生活にしなければならないかと思います。「アリとキリギリス」ではありませんが、日本国は、これまで、借金の山を積み重ねてきたのです。80年代のバブルの時までは、銀行に貯金をしておけば、年利は、5,5パーセントでした。1千万円を銀行に預ければ、1年後には55万円の利子がついて来たという、信じられない時がありました。このことを実感できる人は、50代以上の人になってしまいました。90年以降あれよ、あれよという間に利子が下がり、現在は、年利0,1パーセントです。百万円を銀行に預けても、利子は千円です、そこに20パーセントの利子がつきますから、なんと800円ということになります。「とほほほほ」ですね。私たちが住宅ローン等で銀行から借りると、利子は3パーセントです。そして、ATMからお金を下ろすと時間外や休日には、105円の手数料をしっかりととるのです。いずれにしても、消費税は、断腸の思いで受入れざるを得ないと思います。日本人が多かれ少なかれ、これまでに消費した医療、福祉等も含まれているのです。
(2)人口問題と変わり行く社会問題
2020年には、現在の人口から、4百万人が減少します。これは、四国の総人口に匹敵します。また、私の住む栃木県とお隣の茨城県の人口を合わせた数にもなります。理由は、少子高齢化によるものです。
現在の人口は、1億2800万人と言われています。それでは、7年後の日本の人口の予想される実態をお知らせします。0歳から20歳まで2千万人、20歳から60歳まで6千万人、60歳から70歳まで2千万人、70歳以上2400万人程度となります。その結果、20歳から60歳までの実質労働人口の6千万人が、教育、介護の重い責任をおわされてしまいます。結婚した若い二人が両方の親の世話をしたいと思っても、それは限りなく不可能に近い時代になることでしょう。
(3)これからの年金はどうなるか
もうすでに動き出しました。7年後には、60歳でいったん退職し、年金支給開始は65歳、場合によっては67歳からとなるかもしれません。60歳でいったん退職し、それからの5年間は、年金を受給できるまでは、それまで受け取っていた給料の半額またはそれ以下で働かなければならなくなると思われます。何という不公平と、当事者は怒りたいと思います。健康な人は、仕事ができますが、視覚障がい者の多くが従事しているマッサージ、鍼灸の開業者にとって、不景気になればなるほど、死活問題となります。働きたくても仕事が無いのです。病院に勤務している人たちマッサージ師へのリストラの風は、強風が吹いています。かつては、1万人が病院で働いていましたが、今は、2千人になってしまいました。病院側は、保険点数の良いPT師を導入しています。それに対応できない小規模病院は、これからの7年間で、閉鎖せざるを得ないことを覚悟しなければなりません。それが厚労省の政策の1つになっているのです。規制緩和の名のもとに、医療費のカットで攻めて来ると思います。これは弱者切捨てです。「障がい者基礎年金で何とかしてください」との、政府のメッセージです。
3 増加する非正規社員
日本の企業は、海外との経済競争のために、97年頃から、契約社員を導入して、低賃金で雇用をするようになりました。バブルの影響をもろに受けて、コストカット、リストラに走りました。20年前は、1千万人だった非正規社員が現在は、2千万人に達し、3人に1人と言われています。2020年には、正規と非正規の割合が50パーセントになるのではないかと言われています。結婚をした二人の給料で、やっと生活ができるような状態になってしまうかもしれません。これでは、子どもが生まれる余裕などなかなか見出すことができません。子どもの心を育成する教師でも、7人に1人は契約教師となっています。原因は赤字財政に起因しています。栃木県は、1兆円の赤字、宇都宮市でも、3千億円の赤字です。
ではどうしてこのようなことになったのでしょうか。それは、日本の企業が海外経済戦略へと方向転換したからです。これまでの終身雇用では、企業の維持が困難と判断し、小泉総理の2003年頃から、規制緩和をして、「自由に、したい仕事をしよう」とのもとに、フリーター、派遣社員の会社が次々とできました。一方、企業は、円高ドル安を解消するために、中国へ脱出し、低賃金で拡大して行きました。最近はその中国も、賃金の値上げが激しくなり、ベトナム・ミャンマー・インド・インドネシア等へ、企業を移転し、安い賃金で電気製品を作り、日本に逆輸出しています。
私の経験では、僅か5年前に買った32インチの地デジが、当時は10万円でしたが、今では、3万円になったと聞いています。40インチのテレビも、ついこの前までは40万円でしたが、現在は4万円台で買えると聞きました。国民の多くは、「待てば待つほど物価が安くなる」と堅く信じるようになりました。それに付随して、賃金も、ここ10年、下がる一方です。これでは、明るい成長戦略の3本の矢も、どこへ飛んで行くやら分かりません。
4 病気になったらどうなる
高齢者が3千万人を超える時代が20年は続くことでしょう。私たちが病気になっても病院、老健施設、特別養護老人ホームには入りたくても入れない時代になりつつあります。政府は、在宅介護へと政策転換をしています。東京では、月額50万円を払ってのホームヘルパーを雇用しているというニュースを聞いています。私たち、市民にはそのような生活力はどこにもありません。年を重ねれば、癌や認知症にはだれもなると思わなければなりません。「誰も生まれて来る赤ん坊、そして誰もが経験する認知症」との言葉が、ある病院に書かれてありました。全くその通りです。
私は、ありのままの生活、希望と目標を持って、一日一生(いちにちいっしょう)の、内村鑑三先生の言葉を心の支えに生活していきたいと思います。そのためにも、社会との触れあい、人との出会いを大切にしていきたいと願っております。
40度を超える猛暑、熱中症や水の事故で亡くなる人のニュースを聞くと心が痛みます。同窓会の皆様、読者の皆様、くれぐれもご健康に留意して参りましょう。
来週は、お休みをいただいて、次回は、8月31日を予定しております。それまでに、秋の気配が感じられると良いですね。
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