第36回 最近、気になるニュース
「ジェジェジェ」




 みなさん、こんにちは。暑さ寒さも彼岸までと、昔から言われていますが、春と秋では気温がかなり違っていますね。春分の日の頃の最高気温は13度前後、秋分の日の頃の最高気温は25度程度です。昼と夜の時間が同じということになります。9月16日は敬老の日でした。65歳を超えた人たちが3168万人になりました。4年も経つと、4千万人になると思います。今年は台風18号が、日本列島を縦断し午後1時には宇都宮市の上空を通り過ぎました。樹齢800年になる48メートルの欅(けやき)の木が倒れてしまいました。でも、何とか修復されると思います。
 いよいよ秋の到来ですね。今は、草むらで奏でる虫の声を楽しむ季節ですね。藤原正彦さんの「国家の品格」という本の中に、「私の祖母は、秋になると寂しいね」と言って泣いていました。でも、これは日本人の文化の感覚ではないか?西欧の人たちにとっては、「セミの声、虫の声は単なるノイズに聞こえるのです。それは、脳で感じるところが、日本人と西欧人では違うのだからやむをえないことです。…」とありました。私があるアメリカ人に、ひぐらしの声を聞いてどう感じるか?と、聞いた時に「別に何も感じない。」と、言っていました。松尾芭蕉の、静けさや岩にしみいるセミの声、これを理解するのはとても不可能に近いのかも知れませんね。最近の俳句で私が好きなのは、「行水の 捨てどころなし 虫の声」です。上島鬼貫の俳句と思いますが、何と感性の豊かな俳句でしょうか?
 前置きが長くなってしまいました。今回も、気になるニュースを取り上げて書きたいと思います。
1 2020年東京オリンピック決定について
 9月8日の朝、起きてラジオを聞きましたら、2020年の東京にオリンピックが決定したと聞きました。特に、パラリンピックのためにプレゼンテーションをした佐藤さんという人のスピーチがIOCの100人の心を打ったと聞いています。このことについては、私も素直に喜びたいと思います。しかし、安倍総理の発言とJOCの竹田会長の発言には大変ガッカリしました。
 まず、総理の発言ですが「福島の汚染水の問題は大丈夫です。完全にコントロールされています。」というような発言でした。これは、ジェジェジェです。あまちゃんに出てもらわなければいけませんね。そんなこと、日本でいつ言いましたか?その確たる証拠は何ですか「汚染水 漏れていないで 溢れてる」(時事川柳)がありました。正にこれではありませんか?これを総理は完全にコントロールされているというのですか?とにもかくにもオリンピックが東京に来れば、そのうち何とかなるだろうとの、昔、植木等さんが歌った歌のタイトルではありませんか。続いて登場した竹田JOC会長は、「東京は安全です。福島から250キロ離れていますから心配はありません。」と、言ったと聞いております。これも「ジェジェジェ」です。原発は福島だから東京は関係ないというのですか。2年半前までは、福島第1原発から電気を送ってもらっていたのは東京ではありませんか?それを関係ないから大丈夫ですか。それを聞いていた東日本大震災で被災した人たちの感想ですが、「俺らのことなど忘れたのか?今日何をしたら良いか分からねえんだ。」と、ラジオで言っていました。福島は日本ではないのですか?東京が良ければ良いのですか?と、言いたくなります。
 参議院選挙が終わって間もなく2ヶ月ですが、真剣な議論はいつから国会で始めるのでしょうか?長い長い夏休みを過ごされているようですが、いいかげんに国会を開いて真剣に議論を深めてもらいたいと思います。原発の被害を受けて他の土地に移動しての生活をしている人が15万人。大震災のために仮設住宅に住んでいる人が29万人いるのです。福島に行くと、居住できない土地には、ビニール袋に瓦礫や雑草が積み込まれて高々と山のように積み上げられています。やせ細った豚と牛が村の中をとぼとぼと歩いていると聞きました。
2 どうなる消費税
 安倍総理は60人の学識経験者を招集して、消費税をどうするか議論をさせました。70パーセントが消費税を値上げしてもやむをえない。そうでないと、日本の経済はギリシャのように破綻するという意見が多く出されました。
 ちょっと待ってくださいよ。これって昨年、自民・民主・公明党の3党合意で法律ができたのではありませんか?そして、安倍総理は、当時の野田総理に、早く国会を解散しなさい。近いうち、近いうちというけれど、いつが近いうちなのだ!と、野田総理を攻め立て、あげくの果てに、総理は嘘つきだと、国会で攻め立てました。野田総理は、子どもの時から模範的な生徒で、「嘘つき」と言われるのが最も嫌いな言葉だったそうです。そこで、ついに、誰にも相談せずに、プッツンして、12月16日に衆議院選挙をすると宣言しました。その時の党首会談では、国会議員80人の削減を約束してください。税と社会保障の一体を図ってくださいと確約を迫りました。勝てば官軍、負ければ賊軍でしょうか。選挙中は自民党は、経済状況を見ながら総合的に判断します。で、選挙を乗り切りました。そして消費が落ち込むのを恐れて、できれば消費税を上げたくないとの意思を強く感じるような発言と言動が続きました。週刊現代によると、消費税を上げないと、社会保障医療費がパンクするからといって、読売新聞は当初から消費税値上げの論調として取り上げていました。ところが、参議院選挙後、渡辺恒雄会長は、消費税の値上げは見送った方が良いと言い始めました。困ったのは新聞記者でした。そこで論調も、次第に曖昧な内容へと変わって行きました。安倍総理のブレーンというべき浜田さんのアドバイスもあったと言われています。1年間1パーセントずつ上げても良いのではないか……。
 これらのニュースはみなさま良くご存知のことかと思います。ここからは私の考えですが、民主党は、政治戦略で完全に大失態しました。4年前の衆議院選挙では、消費税は値上げをしないと公約をしたのです。ところが菅総理の時から、消費税値上げのこと、TPPに入らなければ遅れてしまうと発言をし始めました。公約違反ですから、国民は裏切られたと思って3年前の参議院選挙、昨年の衆議院、今夏の参議院と民主党を見限ったのでした。03年の小泉総理は、私が総理の時は、消費税の値上げはしませんよ。しないと言ったらしないのですと、言い続けました。これが戦略だと思うのです。値上げなどはその時になればできることで、現にいまだにはっきりさせません。10月1日に、安倍総理が発表するというのです。オリンピックも東京に決まり、将来的に景気回復の見通しが立つので、そろそろ言っても大丈夫かとの読みがあったと思います。国民の46パーセントが、消費税の値上げはやむをえないというのですが、総理が後からついて来ているのです。
3 シリア問題を考える
 前回もこのトピックで書きました。9月9日のことを心配していました。しかし、米国務長官ケリーとロシアの長官ラブロフとの話し合いで、まずは、シリアの化学兵器を国連が管理して廃棄することで合意にいたりました。まだ安心はできませんが、オバマ大統領もまずは胸をなでおろしているのではないかと思います。アメリカでのアンケートでは、60パーセントの国民が、シリアとの戦争には反対だと言います。10年余に続いた、アフガニスタン・イラクでの戦争に、国民は嫌気をさしているのだと思います。大半は、シリアのことはシリアに任せれば良いではないかとの考えと思います。イラクでの戦争で百兆円の戦費を使い、アフガニスタンから数えて何万人の兵士の命が奪われたか?アメリカは、日本よりも多額の借金を抱えているのです。1600兆円と先日聞きました。日本と同様、ドルの力を借りてるだけで、ずっと前から国自体も破綻状態に陥っているのです。
 今回、ロシアが仲介に乗り出して、まずは事なきを得た様に思えますが、シリアでの戦いは続いています。これまでに死者10万人、2百万人がシリアを脱出して近隣の国へ逃げ出しました。おそらく4百万人程度までは、避難民としてシリアから脱出するのではないかと言われています。人口の4分の1だといいます。
 化学兵器の問題が沈静化されても、内戦はまだ続いています。オバマ大統領は、シリア攻撃に際しては、地上軍を投入しないと公言しました。長くても90日程度だというのです。私はこれを聞いて、大統領は、人工ミサイルを使って、アサド大統領の暗殺を考えているのではないかと思いました。リビアのカダフィー・アルカイダのラディンの暗殺も、「ドゥローン」という、人工ミサイルで殺害しました。ラディンが、パキスタンに潜伏しているという時の話ですが、そこに本当にいる確率は?と、オバマ大統領が聞いた時に、CIAは、50パーセントですと、答えたそうです。その時に、オバマ大統領は、「よしそれならば攻撃だ!」と言ったと聞きます。穏健派の民主党といいますが、それからは、ギャンブラーのオバマとアメリカでは言われるようになったそうです。
 さて、今回も堅い話で失礼しました。イランの核兵器のこと、福島原発のこと、日本を取り巻く環境は厳しいと思います。欧米では汚染水漏れと同時に福島第1原発の4号機のことを懸念しています。もう一度大地震が起きて、4号機が水素爆発をしたら、250キロ以内の人たちは、そこには住むことができません。その時は、東京を含めて私たちも何処かへ避難しなければならないことを肝に銘じなければなりません。そのようなことの起きないように祈るばかりですが、手放しで浮かれてばかりはいられません。64年のオリンピックは、戦後からの高度経済発展への途上にありました。2020年頃は、美しい夕日を目の前に見ることになるのでしょうか?
 60歳を迎えた私たちの多くは、何とかそこまで生きて、オリンピックを2回楽しみたいものだ!と、願う人たちが多いのではないかと思います。ちょっと寂しいけれども夢を与えてもらったことは確かなことです。これは、微妙、複雑な心境です。
 次回は10月5日を予定しております。「ジェジェジェ」も、28日で最終回になりますね。
 



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