第40回 1年を振り返る




 皆さんこんにちは。お元気でいらっしゃいますか?この「もみじの人生日記」も、今回をもって最終回となりました。山々は正に、紅葉の季節ですね。今回は、私の近況報告を書きたいと思います。
 昨年は、退職して1年、はたしてどうしようかと戸惑った時もありましたが、人生旅日記を書くことに集中して、とても楽しい1年でした。今年になって、心にゆとりができたこともあり、一つひとつに変化を付けることができるようになりました。毎週日曜日は、宇都宮市西三丁目にある、四条町教会での教会学校、成人の礼拝出席が週の始めです。特に、二月に一度ですが幼稚園の子どもたち、小学生の低学年対象に、聖書を分かりやすく話すことについては、何年経っても難しいと痛感しています。今年で34年が過ぎようとしていますが、自分の当番の週は、あれやこれやと考え続けることにしています。子どもたちからの反応が何よりも嬉しいし、視覚に障害のあるものが、そこにいることによって、自然な形での共に生きる社会になっています。火曜日と木曜日は、宇都宮市社会福祉協議会が企画している点訳講座のお手伝いをしたり、点訳グループの仲間に加えていただき、それぞれ新しい出会いを経験し、点字の校正をしています。私自身の点字の勉強になっています。点字との関わりはもう55年になりますが、読むことには何の問題もないのです。しかし、書くこととなると、マス空けが実に複雑で、今までおおまかに理解していたことに気付かされました。点字を知っている方はご存知かと思いますが、現在使われている点字には、大きく二つあります。1つは、長年使われている点字毎日新聞です。昔ながらのオーソドックスなルールです。もう1つは日本点字委員会が90年に改定した、点字表記法です。この表記は、一定の法則にのっとっているとは言いますが、矛盾する点も多々あるので、視覚障害者当事者ばかりでなく、点訳ボランティアにとりましてもバリアの多いルールと言わざるを得ません。ルールを定めるためのルールのように私には感じております。例を挙げますと、味噌ラーメンは、味噌でマスを空けます。塩ラーメンは、続けて良いのです。愛してるは続けますが、恋してるは恋でマスを空けるのです。詳細な説明はやめておきます。しかし、ルールはルールですから、私も改めて表記辞典で確認をしながら校正の勉強をしております。言い換えれば、点字も1つの文化であり、語学のようなものではないかと最近、感じております。読む時は書き間違えがなければ、特段、違和感を感じないのです。校正の時には、打ち間違いとマス空けのことを絶えず注意しなければならないという、最新の集中力が必要とされています。私は、この点について、あまり適切とは言えないと自己判定をしています。とはいえ、読書は子どもの時から好きなことなので、校正も楽しいのです。点訳ボランティアと対面校正をしながら、疑問点は表記辞典で確認をしながら最終校正をしています。感謝なことに、ダブルチェックをしていただくと見過ごしていることに気付かされます。
 点字と同じようにパソコンを使っての漢字も難しいですね。この「もみじの人生日記」を、同窓会のホームページに40回連載しましたが、事務局の市田様に大変お世話になりました。9月までは、ほぼ毎週1本ずつ書いていました。月曜日に原稿を書き上げ、火曜日から木曜日まで、何回も読み直し、文を書き直して、市田様にメールで添付しました。自分としては、漢字も間違いが少なくなったかな?と、思っても、思い違い、書き違いが多く、これでは迷惑のかけっぱなしで申訳ないなあ!早々にやめようか?とも思いましたが、市田様に励まされてここまで辿りつくことができました。本当に感謝です。
 今年の初め、私は1千字程度の軽い気持ちでのエッセイにしようと思っていました。しかし、パソコンを開いて書き出すと、あのこと、このことと関連して書きたくなり、手が止まらないのです。結局、昨年と同様の4千字程、長いエッセイ集となってしまいました。このエッセイが、月曜日を中心に木曜日の朝まで続きました。
 それから、今年の水曜日は、色々なことを経験しております。第1水曜日は宇都宮市内にある、宇都宮松原教会の聖書の学びに出席させていただいております。私の所属しているのは、四条町教会ですが、宇都宮松原教会の牧師、渡部静子先生は、私が大学時代に出会いサークル活動を共にした、昔からの友人の方でした。渡部先生は、33年前から、日本キリスト教会「宇都宮松原教会」で、牧師をなさっていることは知っていました。そして市内での超教派での集会では、時たまお会いしておりました。実は昨年の7月21日、栃木YMCA主催の講演会で、渡部先生とお会いしました。その時に 私が退職したことをお話する中で、毎月第1水曜日に、午前中、聖書の学びの集会があるとお聞きしました。それがきっかけとなって、出席するようになりました。そこでの新しい経験から、一味違う聖書の学びと新しい人たちとの学びが刺激となっています。このことにより、渡部先生と懐かしい青春プレイバックとなっております。その他の水曜日の中で、多少移動がありますが、月に2回英語の好きな人たちとの、English Cafeという英語で話し合う楽しいコーヒーブレイクに出席するようになりました。午前中90分、約10人が集まりテーマを決めて英語でのおしゃべりの楽しい時です。参加者の中には、アメリカやイギリス、カナダ、ニュージーランドで長年生活をした人たちがおり、文化の違いや異なる経験について多くの学びと刺激となっています。私が出席するために、仲間の人たちから送迎をしていただいており、本当に感謝なことです。参加者の多くが、子育て真最中のヤングママたちが多いのですが、年齢を越えて、英語と言う共通の興味と関心によって、互いの経験を通して、異文化を学び、英語に対しての向上心をもつことができます。そして残された水曜日ですが、私はガイドヘルパーのサポートを受けて、宇都宮市社会福祉協議会の中にある、ボランティアセンターのお世話になって対面朗読を楽しんでいます。最近は対面朗読の希望があれば、日曜日を除いて前もって予約をして、何時でも2時間単位で対面朗読を受けることができます。このところ、点訳の講座のお手伝いが入り、お休みしています。退職をした私にとりましては、楽しい一時でもあります。
 このような1週間の流れで過ごしております。その他にも、毎日の週間として、インターネットを開いてのニュースを聴いたり、アメリカのラジオ放送を聴いたり、疲れた時にはyou tubeで落語や漫才を聴いて、一人で笑ったりしています。
 「もみじイヤー」とは、退職を迎えてからの60代、70代の人たちを指して言われています。今年は65歳以上の人口が3168万となり、人口の25パーセントを超えました。4年後には3人に1人と思います。退職を迎えた先輩たちに聞いてみますと、元気な人の中には仕事を続けている人、運動をするために、毎日ジムに通って健康増進に励む人、山登りをしたり外国旅行を楽しんでいる人、様々な講習会に参加している人、多種多様です。視覚障害者にとりましては、社会参加をしようと思っても、自主的に出て行こうとしないと、家に引きこもりがちになってしまうのではないかと思います。何と言っても、交通手段がタクシーでは、経済的にも限界があります。そのような時に、ガイドヘルパーを利用することのできる、同行援護制度が充実したことは感謝なことです。
 さて、今年1年間のニュースを思い起こしますと、色々なことがありました。私の心の中には、絶えず福島の原発のことが、ずっと重くのしかかっていました。最近、安倍総理がトルコに行って、原発の輸出に成功したと聞きましたが、もしかして、再処理についても約束してきたのではないかと心配しています。このことを、1年前の野田総理が同じことをしたらどうでしょうか?自民党が「良くやった!」というでしょうか?そのようなことを思いますと、日本が極めて危険な方向に向かっているのではないか。マスメディアもブームに流されずに、政府に対して批判の目をもって報道して欲しいと願っています。
 私流に今年を総括すると、「偽者」の横行した1年だったと思います。振り込め詐欺、投資詐欺、なりすまし詐欺、ホテルでのご馳走との思わせる「偽造食材」、テレビのやらせ番組、…。絶対安心という偽者、毎日の生活での偽者に気をつけなければと思う1年でした。友人の中にも被害にあったと聞いています。油断大敵ですね。
 「一日一生」(いちにちいっしょう)と内村鑑三先生は言いました。{いつですか?」、「今でしょう」という言葉も流行しました。今年1年、災害や不慮の事故で、沢山の貴い命が亡くなりました。生かされている今日、この時を明るく、楽しく感謝して生きて生きたいと思います。
 皆様のご健康とご活躍をお祈りいたします。来年が平和でありますように!ありがとうございました。
☆予告☆
 来年は、一月に2回の執筆の予定です。第2と第4の土曜日を考えております。同窓会のホームページでお会いしたいと思います。
 http://www.tochinomikai.net 「メルシー とちのみ」です。2014年1月1日の予定です。Have happy holidays!
 2013年11月16日 記

 



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