ニュースホットドック(4月号)
森友問題を考える


 皆様如何お過ごしですか?3月から、4月にかけて、夏を思わせるような日が続いております。1970年以来の異常気象の様です。今回は、昨年からの疑惑になっている森友問題について、しぼって書きます。
 昨年を振り返ると、3月23日に、籠池さんを、国会で証人喚問しました。そこでの疑惑は、森友の土地売却に関して、10億円もする土地が、どうして、1億3400万円になったのか?
 もうひとつは、安倍昭恵さんと安倍総理が、このことに深く関与しているのでは無いかとの疑惑でした。
 発端は、、昨年の2月17日の衆議院予算委員会で安倍総理は、「そのようなことに私は全く関係しておりません。もしそんなことがあったら、私は総理大臣のみならず、議員もやめますよ。」と、断言しました。
 この爆弾発言が、これまでの混乱の引き金だと私は思っております。あわてたのは、、佐川さんを主とする、財務省理財局です。
 4月5日の、NHK「クローズアップ」によると、2月20日に、菅官房長官・佐川理財局長たちが口裏をあわせたとの報道がありました。その後、籠池さんが十日間「雲隠れをするようにと政府から言われたとのことです。その所には、現在理財局長の大田さんもいたと言われています。
 1週間後の24日の国会では、森友問題、取り分け、ゴミ処理問題で、近畿財務局、さらに、財務省・理財局長の佐川さんに集中的に質問がありました。
 佐川さんは、そのような疑惑は全くありません。 そして、1年を過ぎているので、籠池さんと近畿財務局とのやりとりの書類は破棄しました。と答弁していたのです。
 3月に入り、野党の代表者が籠池さんに面談して、小学校を設立するために、昭恵さんから、百万円を受け取ったこと、国会議員の何人かの人たちの協力があって、特別な価格で土地を手にすることができたと答えました。激怒した、安倍総理は、周りの人たちが止めるのも聴かず、籠池さんの、証人喚問を、3月23日におこなったとのことです。
 このことについては、昨年のエッセイに詳しく書きました。
 さてあれから1年後の、3月2日、朝日新聞にスクープが掲載されました。
 それは、財務省では、森友小学校の売却に関して、原本の決裁書が、実は存在しており、原本から改ざんされたものが、国会に提出されたことが明らかになりました。
 そして、3月2日の新聞には、改ざんされた決裁書との比較が明確に報道されました。
 下の記録には、昭恵さんが、籠池さんと親しくやりとりをしたこと、新しく小学校を立てる土地を見学して、良い土地ですね。前へ進めてください。」とのきろくがありました。
 その他にも、近畿財務局との記録も詳細に書いてありました。この報道から、皆様ご存知のように、連日のワイドショーとなっています。
 そして、3月7日には、近畿財務局の土地取引に関わった人が自殺をしました。その影響もあったのかと思いますが。間もなく、佐川国税長官が辞任をしました。
 3月27日には、ほぼ1年ぶりに、佐川さんの証人喚問が、衆議院と参議院で行われました。
 佐川さんは、予想どうり、刑事訴追があるとの理由で、肝心な質問には、50回も答えませんでした。自民党からの、「安倍総理はそのような問題に関係していなかったですよね?」との質問だけには、全く関係していませんと、明言しました。
 ここまでが、去年から今年にかけてのあらましです。ではどうしてこんなことになったのでしょうか?
1  公文書改ざんについて
 私の推測ですが、昨年2月17日の、安倍総理の発言「「私はそんなことに関係していたら議員だってやめますよ 。」との総理の発言を聞いて、佐川理財局長はさぞかし度肝を抜かれたことでしょう。
 2月24日の国会では、菅官房長官が、「決裁書があるからはっきりできますよ」と、言いました。その時の決裁書が、原本なのか、それとも書き換えたものなのか分かりませんが、おそらく、17日から24日の間に書き換えられたものと思います。
 昭恵さんの名前が入っている所、ゴミ処理の低価格についてのやりとりについては消去されたと思います。
 ですから、3月23日の、籠池さんの国会証人の時には、籠池さんの発言が、まるで虚偽答弁であるかのように、自民党と理財局は答弁したのでした。
 それから1年後、よもや新聞が情報を入手したとは夢にも思っていなかったことでしょう。
 籠池夫妻は、8ヶ月も、刑務所に入れられています。籠池さんの部屋は窓はあるけど暖房がありません。妻の部屋は、暖房はありますが窓が無いと聞いています。これは口封じのためでしょうか?人権侵害ではないでしょうか?
 内閣は、佐川さんの証人喚問で幕引きと思っていますが、4月に入っての世論調査では、佐川さんの答弁が不十分と回答した人は75パーセント。安倍総理の対応に不十分と答えた人は、概ね60%が、だめだしです。安倍総理の回答、国民に委ねます、とは、正に世論調査だと思います。
 問題は、検察当局が鍵を握っています。佐川さんを、何時、参考人招致をして、公文書偽造、その他国会での虚偽答弁などで起訴するか?
 いつまで籠池夫婦を刑務所に留置するか?逃亡の恐れもありません。まだ起訴もされていないのです。全く、不可思議なことがおきています。このようなことは聞いたことがありません。
 もう一つ書きたいのは、当時、昭恵さんにずっと付き添っていた、谷さんです。現在は、イタリアの1等書記官ですが、先ごろ朝日新聞のインタビューを受けて、微妙な発言をしました。
 正式に自分の所に、証人喚問があれば、受けない訳ではありません。語るべきことは語りたいと思います。といった内容と聞いています。
 推測ですが、佐川さんの証人喚問に対して、無責任、総理を弁護し、責任は部下にしていることに、違和感を持ったのでは無いでしょうか?
 安倍昭恵さんの証人喚問を国民は求めていますが、与党は認めないでしょう。せめて、谷さんと、最も深く関わった一人である、今井書記官の証人喚問をして欲しいと、私は願っています。
 また、証人喚問でも、元文科省事務次官だった、前川さんと、今回の佐川さんとの明らかな違い。人格の違い、価値観の違いをハッキリと知ることができました。
 この森友疑惑は、やがて、1冊の本に間違いなくなるでしょう。自殺に追い込まれた、二人の人の死を無駄にしてはならないと思います。
 職場では、言葉だけで動くことはありません。官庁はいうまでも無く、企業・学校でさえも、ひとつひとつのことについて、許可をもらうために、印鑑をおしてもらうのです。
 学校でいうならば、担当者が起案をして、主事。l、教頭、事務長、校長の証人印をもらい、それをファイルにするのです。財務省のみならず、厚労省全てのところで、きろくが残されなければならないのです。破棄しました、どこにあるか分かりませんなどというのは?国会や国民をあざむいているのだと私は確信しています。
 今回はここまでにします。 弁護人 何時からなったの参考人(啓)
2 私の読書ノート:門井慶喜著 「銀河鉄道の父」
 これは、この度、直木賞を受賞した作品です。宮沢賢治は、あまりにも有名な童話作家です。賢治の生涯についての本があるかもしれませんが私は、読んだことがありませんでした。今回、この本を読み、多くのことを知ることができました。
 主人公は、宮沢賢治の父親・政次郎です。妻いちとのあいだには、2男3女が与えられました。長男・賢治は、1896年に生まれ、1933年に、肺結核のために37歳の若さでこの世を去りました。その前に、賢治の二つしたの妹・としが、22歳の時に、肺結核で亡くなったのでした。
 賢治ととしは、本当に仲の良い兄弟でした。二人とも神童でした。しかし、病に勝つことができなかったのです。
 妹・としを喪った賢治は悲しみのあまり、喪失感から立ち上がることができず、心の病になったのではないかと私は思います。「銀河鉄道の夜」は、死の世界と言われますが、としとの哀しい別れから書かれたと推察します。
 父親・政次郎は、花巻で、質屋を営み、地元では裕福な生活をしていました。政次郎は、親から受け継いだ浄土真宗に心酔し、家族たちにも勧めました。賢治は、小学校・中学校と多くの本を読破していましたが、二十歳の頃から、日蓮宗の本を読み、父親に反抗したのでした。その頃から、父と賢治は、正に宗論といいますが、世を徹して、浄土真宗と、日蓮宗の議論に明け暮れて、隣近所まで聞こえたとありました。
 賢治は、中学校を出てから精神的病になり、2年間私立の農業学校で教えましたが、中途で退職し、その後は、父親からの支援を受けながらの童話作家に入りました。単発的に童話作品が認められましたが、その作品が花を咲かせたのは、賢治没後でした。
 この本を読んで、私がもっとも心を痛めたのは、賢治の両親が、二人の子どもたちを見送らなければならなかったということでした。
 銀河鉄道の夜も、未完成でした。父親は、賢治の命がきえいりそうになった時、紙と炭を用意して、遺言を書かせたというシーンには驚嘆しました。
 昭和7・8年頃、東北地方は、凶作でした。そのために、農民たちは、政次郎の質屋に来て、日銭を得ようとしました。賢治は農民を思って、高めの金を出し父親からは、そんなことでは、わしらの方が先に飢え死にしてしまうわ!と叱責され、自分はこの商売に合わないことを思い知らされました。
 有名な、雨にもまけずの詩は、斉藤そうじろうという人をモデルにしたという説もあります。この本では、その点について詳細に書いてなかったのが残念でした。
 連日、財務省のみならず、厚労省、防衛省でも、破棄されていたと文書が出てきました。大臣のみならず、国会、国民もかやのそとに置かれているのです。 「たみには、よらしむべからず、知らしむべからず」との、江戸時代からの通達が今なお残っているのでしょうか?
 主権在民などは、単なるお題目にしてはなりません。文民統制が守られなければならず、このような時に、憲法改正など、テーブルの上に載せてはならないと思います。
 もし朝日新聞のスクープが出なかったらと思うと恐ろしくなります。
 言論の自由が保証されるように、ひとりひとりが、政治に関心を持つことを痛感している今日この頃です。
 「佐川です お荷物ですよ 昭恵さん」(時事川柳より)


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