2015年6月後半





 皆様、こんにちは。6月も下旬になりました。5月は、一月の中で、20日以上も夏日でしたね。6月になってから、どういう訳か、4月を思わせるような日が続いています。季節はうまくバランスがとれているのでしょうか。しかし、鹿児島県では、火山が噴火したり、2週間で、1000ミリを超える豪雨が続いたり、バランスがとれているとは言えませんね。
 6月13日、土曜日。
 私は、荒井退造さんの慰霊追悼式に出席しました。荒井退造という人のことは、全く知りませんでした。3時間におよぶ集会でした。簡潔に書きますと、荒井さんは、第2次世界大戦中、栃木県から沖縄に警察の本部長として、勤務しました。昭和19年から20年にかけての、最も厳しい時です。当時、太平洋の島々が激戦による玉砕で、次々と日本軍は敗退をしました。沖縄にも危機が迫っていました。その時の沖縄の知事は、危ないと分かるや、コネを使って、香川県の知事へと逃げ出してしまい、荒井警察本部長と共に、兵庫県から、島田知事が赴任しました。荒井さんの最大の功績は、沖縄の人たち、とりわけ子どもたちと女性たち、10万人を疎開させるということでした。沖縄の中では、それに対して、異論批判の渦が湧き上がっていました。日本は戦争に負けることはないのだから、疎開などは必要ない。アメリカ軍が沖縄に来ることなんか、絶対にない!何と言う弱腰だ!そんな痛烈な声が、県内でもおきていました。しかし、荒井さんは、頑固として聞かず、知事が不在の時に疎開を断行したのでした。44年から45年にかけて、10万人の子供たちや老人たちを疎開させたというのです。その最中、44年8月22日、学童疎開のための「対馬丸」は、鹿児島県沖の海で、アメリカの魚雷艇によって撃沈され、1788人の子どもたちが、船もろとも海底に沈められてしまいました。
 やがて、45年になると、米軍の攻撃は本格的になりました。4月、5月となると、アメリカのB29が、沖縄を来襲するようになりました。日本軍も沖縄にやってきましたが、沖縄の人たちは、アメリカの攻撃に対して、人間の盾にさせられてしまいました。そして、6月23日には、ついに、沖縄は、完全に玉砕となりました。死者は24万人と言われています。人口が60万人ですから、3人に1人が犠牲になったことになります。その中で、島田知事と荒井本部長は、沖縄の人と共に戦い、命を捧げました。
 荒井さんが、栃木県清原村の出身で、現在の宇都宮高校出身の方とは、全く知りませんでした。戦時中の警察官と聞けば、特攻警察官をイメージします。しかし、このような人がいたことを改めて知り、大変心を打たれました。当日は、沖縄から5人の方が会場に来られていました。沖縄の人たちを守る最善の努力をされ、沖縄の人たちと共に命を捧げた、宇都宮からの警察本部長がいたことを知り、心が熱くなって帰宅しました。
 6月23日は、沖縄では、戦後70年の慰霊祭があります。安倍総理も出席します。しかし、基地問題については、もうすでに決まったことと、耳を傾けません。沖縄の基地問題、福島の原発問題を、国益のためと、放置・無視してよいものでしょうか?次は、どこの県が同様の憂き目にあうか分からないのです。アメリカのオスプレイが、栃木県の自衛隊の基地に配備されることになりました。県南の人たちにとっては、これから大変なことになります。東京の横田基地も同様です。
 集団的自衛権等を法制化しても、前線に行かされる自衛隊の中では、25万人の内、10パーセントを超える、3万人が、心の病におかされているというのです。イラク戦争以来、56人の自衛隊員が自殺しています。それでいて、自衛隊員は、ひとりとして、戦争で死んではいないと、政府は公言しています。これって真実と言えるのでしょうか?自衛隊員が激減し、厭世観が深まり、退職者が増えていけば、やがては、徴兵制が、拡大解釈、法律の導入によって実現されることも、夢物語とはいえないと思います。徴兵制をしないとは、憲法には書いてありませんとの、長拡大解釈もなりたつのです。権力者は力によって何でもできることを、今、まざまざと知らされています。戦前の空気に近づいていると、戦争体験者が異口同音に言っています。93歳になる、瀬戸内寂聴さんが、「命がけで、最後の戦いを、ひとりでもやりますよ」と、新聞紙上で語っています。私たち一人ひとりに語りかけられているメッセージではないかと思います。戦争で良い戦いなどはありません。私が知っているものでも、ベトナム戦争・アフガニスタン・イラク・シリアでの戦争、そして、ロシアとウクライナの戦いは今なお続いています。犠牲になるのは、罪なき市民です。
 23日の新聞には、内閣支持率が出ていました。朝日新聞によると、前回45パーセントの支持率が39パーセントになっていました。共同通信では、45パーセントですが、やはり5パーセント程度下がりました。そして、23日から9月27日までの95日間、国会を延期して、安倍総理は、何が何でも、集団的自衛権の法律を可決する覚悟でいるようです。慶応大学の小林教授は、それを止める方法は、ただ1つ、内閣支持率がドンドン下がり、来年の参議院選挙で、自民党が危ないと分かった時、そして、菅官房長官が、安倍総理に新たな道を提示することだと言っています。そのためにも、私たち国民が立ち上がり、声を大にして、「戦争は嫌だ、反対だ」と、行動を開始することと思います。そうすれば、安倍総理に傾いていた、マスメディアも、「これは、方向転換が必要だな!」との路線変更をすることと思います。現実的に、この一月、全国の若い母親たちを中心に、戦争をさせない大会の集会などの動きが活発になってきています。そうです。幼い子どもを持つ、親たちが矢面に立たされているのです。とにかく、来年の参議院選挙までは、この法律を認めるわけにはいかないと私は思います。95日間、国会を延期しました。アメリカと組んで、外国に出かけていって、戦争をすることが、如何に愚かなことか、どうして、平和になるのか?戦争の抑止になるのか?よくよく考える時です。今回強行採決をしなかったこと、国会を延期したことが、安倍総理にとって、プラスになるか、大打撃になるか、支持率がどうなるか?もう一月経てば明らかになることと思います。
 さらに、集団的自衛権の他に、あまり気持ちの良くない話が、次々に入ってきています。国立大学では、国歌を斉唱するようにとの、文科大臣からのお願いなるものがでました。これは、お願いとは建前で、本音では圧力です。大学とは、自由に学問を研究するところであり、外国からも多くの留学生が来ている所です。かつて日本軍が侵略した国の学生たちにも、君が代を歌わせようというのでしょうか。君が代を国歌に定める法律の時にも、意見が2分されたことを忘れたのでしょうか。最近の東京都の教職員への裁判の判決、卒業式の時に、君が代を歌わないこと、起立しなかったことが、秩序を乱すことにはならないとの判決から、東京都に損害賠償の判決が出たではありませんか?国立大学にそのような規制が出ると、次は、私立大学にも国から補助金が出ているのだから、君が代を入学式・卒業式でも歌うようにとの、「お願い」なる、通達が出るかも知れません。
 さらに、私には何ともがてんのいかないニュースが耳に入りました。大学において、文学系を縮小し、理系・技術系の授業を増やすように。そして、そのような大学には補助金を増やすというのです。これは、利益を直ぐに求める、成果主義です。文学を学ぶことは、遊びではありません。そういう誤解をする方もいるかも知れません。私が大学で学んだことは、「文学とは、心の科学です」本を読み、人生を学び、人の心を深く知るのは文学です。つまり、文学と理科系は、車の両輪となるものと思います。人は、読書から人生を学び、生きることの意義と人の命の尊さを学ぶのです。文系に進んでも、飯の種にはならない、就職には理系の方が有利だ。現実的には当たっているかも知れません。しかし、技術だけでは、信頼・愛・友情は学ぶことができません。文科省には、損得ではなくて、人の心を何が影響を与えるかを吟味して欲しいと強く願っています。1冊の本との出会いが人生を変えることを心にとめたいと思います。
 今月、数冊の本を読みました。その中で、宮部みゆきさんの「理由」という本をご紹介します。300ページ以上の長編推理小説です。直木賞を受賞した本です。
 ある高級マンションで、4人の家族が殺害されましたとの、出だしから始まる話です。どんなことになるかと思って読んでいきますと、話は思わぬ展開の連続です。ここで、その謎解きを書くわけには行きませんが、そのマンションに住んでいたのは、4人の家族ではなくて、4人とも、全く知らない人たちが住んでいたのです。どうしてそのような人たちが同居して、そして殺害されたのか、まだの方は、是非お読みになってはいかがでしょうか。
 私の読書は、村上春樹から宮部さんの方に、多少移動し始めました。でも、宮部さんの本は、いずれも長編なので、推理小説を読むのにはかなり忍耐と努力が必要かと思います。私の傾向は、どちらかと言えば、やはり純文学の方があっているよな気がします。
 連日振り込め詐欺、投資詐欺のニュースがとまりません。認知症になりかけている女性が狙われています。男性が電話にでると、たいていは無言で切られます。留守電が良いのですが、なかなかそうはいかない人も多いですから、気をつけましょう。特に年金流出問題、国民健康保険の情報流出が起こっています。電話がかかってきたら、まずは、電話を切ってから、関係者に問い合わせることですね。電話でのそのような問い合わせはないと聞いています。私の家には、NTT関連ですが、インターネットがぐんと安くなりますとの電話が多くかかってきます。でも、結局は、NTTといっても、その回線を各会社が借用してのちょいと割安なだけで、解約をしたら、多額の解約料が生じるのでお互いに気をつけたいものです。
 さて、1年の半分が過ぎようとしています。学校では、期末試験の季節ですね。それが終わると夏休み。生徒たちにとっては待ち遠しいことかと思います。先生たちにとっても、多少の息抜きができますでしょうか。健康に留意して、今年の夏をのりきりましょう。 







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