2015年12月前半
「民主主義を考える」





 皆様、こんにちは。いよいよ師走になりました。もう1年が終わるのですね。短いようでも、1年を振り返ると、あまりにも多くの悲しいできごとが続きました。世界のいたるところで、自爆テロ、それに対しての報復、ネパールを含めての大地震…。ドイツ・マレーシア・ロシアの飛行機の墜落、アメリカでの連続銃乱射事件。シリアを巡っての悲惨なニュースには、世界大戦ではないのか?と、思わずにはいられないほどです。400万人ザ、シリアを脱出し、トルコに2百万人、ヨーロッパに2百万人の人たちが難民となりました。
 さて、今回は、日本国内における、地方と政府との対立について書きます。これが民主国家なのでしょうか?
 政府は、各地方の政治・経済の反映・安定のために全力を尽くすことが目的と思いますが、今年1年を振り返ると、「寛容と和解」の姿をみることはできませんでした。
1 福島原発に関すること
 12月に入り、福島の原発に関して、二つのニュースが入ってきました。
 1つは、福島県内の子供たちのことについてです。原発が崩壊し、放射能漏れが始まり、間もなく5年を迎えます。これまでに、甲状腺癌にかかった子どもの数は156人となりました。このことについて、政府管轄の監視委員会は、原子力の放射能との関連性は特段ないといいます。これって「本当ですか?」、なんでも、旧チェルノブイリとの比較だというのですが、そもそも甲状腺癌になる確率とは、百万人に3人というのです。それが、すでに156人も発症しているのです。それでは、いったい原因は何だというのでしょうか?いやはや恐ろしい見解です。あの2011年3月11日のメルトダウンの時も、皆さんの健康は問題がありません。家の中にいてください…との放送が、二日間続きました。戦争中の大本営ではありませんか?(私は生まれてはいませんでした)。こんなに沢山の子どもたちが、甲状腺癌に罹るのですから、1日も早く、原因と結果を明らかにするのが、加害者である東京電力、日本政府ではないかと思います。
 太平洋戦争の時、政府は、広島・長崎に投下されたのが原爆であったことは、いち早く知っていました。しかし、国民には知らせませんでした。それは、こんにちも、情報操作として永遠と続いています。
 福島での二つ目のニュースは、県内在住の男性の仕事の多くが非正規社員であり、年収250万円以下の人が増えていること、その結果、高校を卒業する人たちの中で、大学へ行きたくても断念せざるを得ない人たちが増えているというニュースです。国内でも格差社会が広がり深まっていますが、特に、福島県内では顕著になっています。現在でも、県外に住んでいる人が10万5千人といいます。家族バラバラで新年を迎える人たちのことを思うと、心が痛みます。
 放射能廃棄物の問題では、栃木県でも、未解決の問題が継続しています。栃木県は、福島県の隣にあります。そのために、放射能による被害が多大でした。放射能廃棄物は、1万4千トンになります。それをどのようにするか?環境省は、塩谷町にある国有林に埋め立てたいというのです。しかし、地元町民はいうまでもなく、もう反対が起きています。18万人の反対の署名が政府に提出されました。政府は、全く聞く耳をもちません。国有林だし、土深く埋めるのだから問題がないというのです。地元の人たちにとりましては、今年の大雨によって、鬼怒川が大反乱しました。そのようなことが起きれば、土壌は汚染され、美味しい水で有名な塩谷町の土地が放射能で汚染されてしまうと、反対の渦は大きくなるばかりです。県知事は、政府の意向を受けて、地元人には何とか理解して欲しいとの考えをしばしば話しております。沖縄の知事とは大分違います。
 関東の近県・東北の県でも、放射能汚染物埋め立てには、反対運動が全く治まりません。ではどうしたら良いか?地元の多くのひとたちは、「それはもともと福島県の原発から出たものだ。原発のあった所に埋めるべきだ。」と言います。痛みわけよりも、こちらは迷惑な話だというのです。誰も住まない福島原発の跡地に、土深く穴を掘り、ドラム缶に入れて、埋めるしかないのではないかと思います。これは、小さなことでいえば、ゴミ処理問題に類似しています。しかも、放射能といえば、命と生活に関わる問題ですから穏やかには行かない話になります。
2 宇都宮氏のLRT問題
 全国の皆さんのところにはなかなか伝わらないニュースです。かれこれ10年程前から、現在の宇都宮市長が、未来構造計画として、宇都宮市内に、LRT(軽量電車、俗にいう「路面電車」)を走らせて、市内の構造改革をしたいと提案しました。一番の目的は、工業団地付近の朝夕の交通渋滞を解消すること。また、市外から宇都宮に来る人たちのバス利用は料金が高く、バスもめったに走らないから、というのが主たる理由でした。8年前には、その論点で市長選挙がありました。市長は賛成、それに対しての反対者が二人たったために、みつどもえでした。反対者への得票数を足せば、そちらの方が多かったのですが、結局、現在の市長が当選しました。その時、市長は、公約として、住民投票を取り入れるといったのですが、その後の反対運動に対して、自分は選挙によって承認されているから、その必要はないと言うようになりました。私は、本来ならば、改めて住民投票をやるべきと思います。そのためのリコールの投票数は十分に満たされています。これは、もしかすると危ない、とでも思っているのでしょうか?結局、自民党・公明党の市議会議員によって決議されてしまい、2年後には、路面電車を走らせる計画が動きだしました。
 しかし、その走る距離というのは、当面は、宇都宮JR駅から東へ15キロというのです。あと10年もすれば、30キロ・40キロ位は延長されるかも知れません。住民の声は無視されてしまいました。このようなことを客観的に見られるのはタクシーの運転手と思います。その人たちに話を聞きますと、次のように帰って来ます。
 「使う人は、東京から仕事で宇都宮に来た人だよ。車を運転する人は、LRTに乗っても、玄関までは連れて行ってくれないからね。老人・障害者にしても、バスを乗り降りしたり、路面電車に乗ったりしていたら、病院に行きたくても時間ばかりかかって大変だ。移動が困難な人は、乗用車かタクシーが一番安心だからね。」との回答です。私も全く同感です。その市長にしても、はたして路面電車に乗って、移動をするでしょうか?デモンストレーションだけと思いますし、いつまでも市長をやっている分けではありません。ほんの一時期、建設会社が潤うだけではないかと思います。そして、赤字が出たら、誰が責任をとるのでしょうか?
 宇都宮も、人口50万人と言いますが、これからは、高齢化の荒波がやって来ます。人口が激減します。どう考えても、利用者が増えるとは考えられません。
 私は、週に1・2度市内のバスを利用します。朝は9時頃、午後は1時・2時頃ですが、そんな時、バスに乗っている人は、多くても10人前後、少ない時は、私とガイドヘルパーの時もあります。高齢者の通院は、タクシーまたは家族の支援によるものです。また、デイサービスは、各事業所で送迎をしてくれるので、バスを利用することも、ますます減っているのだと思います。
3 全面対立の沖縄基地問題
 11月13日、フランスでは、テロリストによる数箇所での攻撃により、死者130人、重傷350人におよぶ悲劇がおきました。安倍総理は、11月30日、パリで開かれたCOP21の時、日本としては、1兆3千億円を支出すると約束しました。「日本はテロリストと断固戦います。フランスと共にあります。」と演説しました。
 ところがです。11月30日の東京新聞には、フランスと共にあっても、沖縄とは共にないか?との、記事が掲載されました。菅原文太さんのパートナーが、琉球新聞に書いたものです。フランスで犠牲になった人たちへの同情はあっても、かつて沖縄の地で命を失った20万人の命、そして、今なお爆音の下で生活している沖縄の人たちへの「共にある」という気持ちは、代執行によって踏みにじるのか?との内容でした。
 環境への配慮への1兆3千億円の支援、他方、国内では、消費税を上げても、食料品の補填は4千億円どまりだというのです。
 また、来年の6月ごろには、年金の低額受給者・約1千万人には、3万円の給付をするというのです。選挙を目の前にした、飴玉ではないかと思います。それもたった一度ですからね。なんというアンバランスかと私は思います。
 消費税について、この際いえば、いっそ、ヨーロッパの何カ国かで導入しているように、食料品の消費税をなくしてはどうでしょうか?ドイツでは、消費税が17パーセント、しかし、食料の消費税は0といいます。アメリカでも、消費税は15パーセント、食料への消費税は5パーセントです。トップダウンと言いますが、各大臣が果たすべき役割を、総理が取り上げて、全ての判断を総理1人で判断しては、良い解決は出て来ないと思います。
 東京は、人口が増加し、にぎわっています。しかし、中都市・小都市では、本屋も店じまい、病院もなくなり、出るのはためいきだけでしょうか。
 私たちの日本は、国民主権のはずなのですが、ここ数年の政治は、黙って俺たちの言うことを聞け!の、政治ではないかと思います。 来年の選挙に、国民の意思をハッキリと表明するようにと願うばかりです。クリスマスには、明るい話題を欠きたいと思います。
 ここで私にとりましての嬉しいニュースを1つ書きます。あれから42年。大学時代、2年間、共に下宿生活をした、友人・舟山さんからの推薦をいただき、12月15日に、岩手県盛岡にある、盛岡スコーレ高校のクリスマス礼拝で、話をさせていただくことになりました。あれから42年、年賀ハガキ、メールで繋がっていた友人関係が実を結び、再開し、話をする、私へのクリスマスプレゼントをいただきました。感謝して若い高校生たちにメッセージを語らせていただきます。友達とはありがたいものです。
 普天間の 跡地の夢も アメリカか(時事川柳より)
 次回は、12月25日の予定です。







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